日常の謎

日常の謎を記録しておく日記。ミステリのネタに使えるかも?

傘を差しているのに雨宿りをするのはなぜ

[日記]すごい雨

夕方、ごおんという雷とともに激しい雨が降り始めた。大気が不安定と聞く、不安定なのはもはや私だけではないのだな。

アーケード下にいたので豪雨の直撃は免れたが、隣のショッピングセンターまで走る羽目になった。天気予報で悪天候は知っていたけれど、この程度の雨であれば傘は持たない。だって雨に濡れて風邪を引いたことなんてない、バカだからね。

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 [日常の謎]傘を差しているのに雨宿りするのはなぜ

傘を差している状態で、建物の軒先に雨宿りする人を見た。シンプルに軒先部分の長さが足りなくて、吹き込んでくる雨を避けるためと思われるのだが、傘を持っているのならば雨を避けられる建物の中(特にショッピングセンターなんかは入口に待合スペース的なものがある)に移動した方が合理的と思われる。

ではなぜ、その人物はそこに立っていたのだろうか。いろいろと妄想が膨らむ。

恋愛的なアプローチ

今日は初めて彼女に会う日だ。アプリのメッセージで相手をなんども説得して、ようやくこの日を迎えた。あいにくの天気だったが、今日というチャンスを逃したくはない。

待ち合わせの場所は、ポストの横のスペースと決めている。びしゃびしゃと足元にはねる雨がおろしたての靴を濡らした。鞄から折り畳み傘を開くと、隣に立っていた信号待ちの女性が怪訝な顔でこちらを見た。
歩行者信号が何度も点滅を繰り返す。赤い色は不安をかきたてる。青信号に切り替わると、僕は救いを求めるように、人込みの中に彼女の姿を探した。

ホラー的なアプローチ

脅威はもうすぐそこまで来ている。雷が鳴るのを合図に、ぬるい雨が降り注ぐ。同時に周囲の気配が濃くなった。普通の人であれば水たまりにしかみえないであろう足元の液体は、ときおり不自然にぐにゃりと曲がり、ゆっくりと、確実に移動していた。
(僕を探している…!)
このままでは追いつかれるのは時間の問題だ。急いで軒先に向かって走った。今はとにかく身を隠すしかない。手に持っていた傘を差せば、多少は目隠しになるだろうか。
壁に背中を預けて大きな息をついたとき、背後から肩にぽん、と手が置かれる感触がした。毛が逆立つと同時に、僕はその声を聞いた。

――みいつけた

ファンタジー的なアプローチ

「なぁ、本当にこの場所で合ってるのか?」
ファーストフード店が入っている雑居ビルの軒先に、僕は立っている。
道行く人に気づかれないよう、こっそりと頭の上の相棒に向かって話しかけた。こうもり型の使い魔が変身できるのは、傘だけと決まっているらしい。今日が雨で良かったと心から思った。
「ああ。この座標で間違いない。しっかしひどい雨だ。羽の中までびしょびしょだよ」
(嘘つけ。濡れてなんかいないじゃないか)
僕は傘をずらすようにして、頭上の屋根を確認する。そのとき隣に立っていた女性に怪訝な顔でこちらを見られた。ごまかすようにして傘をくるりと回し、慌てて視線を逸らす。いつかこいつの正体が世間にバレるんじゃないかと思うと、まったく気が気じゃない。

「来るぞ!」

その声と同時に、僕は詠唱を始めた。雷が鳴り響き、声をかきけしてくれる。この不安定な天気も、こいつの言う通り魔の力のせいなのだろうか。そんなことを考えているうちに、魔法の発動条件は整う――はずだった。

 

おおう、ローファンタジーを初めて書いてみたけど、主人公がいきなり魔法が使える設定なのは楽しいな!ちゃんと敵キャラを作り込みたくなった。

今日の妄想はここまで。さようなら。